ブラックホールとは何か?その基本構造を解説
ブラックホールとは、非常に強い重力によって光すら逃げられない天体です。
その中心には「特異点(シンギュラリティ)」があり、密度は無限大とされています。
主な構造
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イベントホライズン(事象の地平線):ここを越えると、何も外に出られない境界線
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特異点(シンギュラリティ):時空が無限に曲がる点
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シュバルツシルト半径:ブラックホールの半径の理論値
ブラックホールはどうやってできるのか?
ブラックホールは主に以下の2つの過程で誕生します。
① 恒星の死(重力崩壊)
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大質量の恒星が寿命を迎えた後、超新星爆発を経て重力で潰れる
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中性子星を超える質量を持つと、ブラックホール化
② 原始ブラックホール(宇宙初期)
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ビッグバン直後の密度のムラから生まれた可能性も議論されている
ブラックホールはなぜ“真っ黒”なのか?
ブラックホールからは光が一切出てこないため、観測機器では黒い「影」としてしか映りません。
ただし、周囲に物質が吸い込まれる過程でX線や重力波が発生します。これにより間接的にその存在を捉えます。
初めて“見えた”ブラックホールの姿とは?
2019年、国際プロジェクト「Event Horizon Telescope」がM87銀河中心の超大質量ブラックホールの影を撮影。
“ドーナツ型の影”は世界中の科学者とメディアの注目を集めました。
ブラックホールの種類:サイズも質量も様々
| 種類 | 質量 | 例 |
|---|---|---|
| 原始ブラックホール | 極小(仮説段階) | ビッグバン直後 |
| 恒星質量型 | 数倍〜数十倍の太陽質量 | X線連星のブラックホールなど |
| 超大質量型 | 数百万〜数十億倍 | 銀河中心(例:M87、天の川) |
| 中間質量型 | 数百〜数千倍 | 最近ようやく観測が始まった |
ブラックホールの“蒸発”?ホーキング放射とは
理論物理学者スティーヴン・ホーキングは、ブラックホールもわずかに**放射(ホーキング放射)**し、最終的には蒸発すると予測しました。
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量子効果による現象
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小さなブラックホールほど早く蒸発する
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実証はされていないが、理論物理学の重要課題
ブラックホールと時間の関係:時間が止まる?
ブラックホールに近づくと、重力によって時間の流れが遅くなることが一般相対性理論から導かれます。
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事象の地平線付近では、観測者から見ると時間が止まったように見える
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映画『インターステラー』でもリアルに描写された
ブラックホールは“ワームホール”の入口か?
理論上、ブラックホールは**時空のトンネル(ワームホール)**の入り口になる可能性も議論されていますが、これは仮説の域を出ていません。
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一部では「他の宇宙への通路」とも言われる
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ただし安定して維持される保証はない
まとめ:ブラックホールは宇宙最大のミステリー
光をも飲み込み、時間さえ歪めるブラックホールは、宇宙で最も極端な存在の一つ。
しかし、その正体はまだ完全には解明されていません。
ブラックホールの研究は、重力・量子論・時空構造の統一理論へとつながる最前線です。

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